まず、御社の事業について教えてください。
株式会社melaでは、大きく分けて「受託事業」と「自社事業」の2軸で展開しています。受託事業では、主にブランディングデザイン領域を支援しています。ミッション・ビジョン・バリューや企業理念、ブランドコンセプトといった上流の言語化から、Webサイト・映像・空間・グラフィック・ロゴなど各種クリエイティブへの落とし込みまでを一貫して行っています。
自社事業としては、パーソナルジム「mela gym」を運営しています。2023年5月に1店舗目をオープンし、2026年6月現在で16店舗まで拡大しました。今回のAI・DXの取り組みは、この自社事業の運営改善・業務効率化の文脈で活用しています。
入会前は、AIやDXにどう向き合っていましたか。
AIやDXの重要性は理解していました。YouTubeなどで情報も見ていましたし、「DXを進めるべきだ」という認識もありました。ただ、実際には“見て見ぬふり”に近い状態でした。
予約システムや予約サイトを作りたい、業務をもっと効率化したいという課題感はあり、Web制作会社や開発会社に見積もりを取ったり、補助金の活用も検討したりしていました。けれど、外部に依頼するとコストが大きくなり、どこまで要件を固めればいいのかも分からない。自分たちの現場課題をうまく伝える難しさもあって、なかなか実行に移せず、運用はアナログな対応を続けていました。
そこからClaude Codeと出会い、何が変わりましたか。
一番大きな変化は、DXの検討が一気に現実的になったことです。これまで開発会社に依頼しないとできなかったことを、自分たちでミニマムに試せるようになりました。要件定義の段階から、壁打ちしながら整理できます。
自社事業は、現場に入ってみないと分からない細かい課題が多いんです。「ここが足りない」「この作業が非効率」「この部分は自動化できそうだ」といったことを、自分たちで現場に入りながら整理できるようになりました。
進め方としては、まずミニマムな仕様を作って実際に試す。使ってみると足りない部分が見えてくるので、改善しながら少しずつ実用に近づけていく。この検証サイクルを自分たちで回せるようになったのが大きいです。最大の価値は、最小限の機能で検証できること。開発会社に丸投げする前の段階で、かなり具体的に詰められるようになりました。
最小限の機能で、自分たちの手で検証できる。
これが最大の価値でした。
そこで開発されたのが、運営支援ツールだと。
はい。mela gymの現場で使う、パーソナルトレーニング領域の運営支援ツールを開発しました。テーマは、食事管理の効率化、顧客情報・セッション記録の一元管理、トレーナーごとの対応品質のバラつき改善、アフターサポート文面の自動生成などです。
たとえば食事管理は、当ジムのサービス価値の一つですが、お客様から届く食事情報に毎日フィードバックする必要があり、トレーナーの工数がかなり大きい領域でした。また、トレーナーが変わるとセッション内容や対応品質がバラつくこともあるため、顧客情報と過去のトレーニング内容を一元管理できれば、対応品質を安定させやすくなります。
アフターサポートでは、顧客情報と当日のセッション記録を入力すると、AIがアフターケア文章の草案を作ります。トレーナーはそれを確認し、必要に応じて編集してから送る。AIだけに任せるのではなく、最後は人が温度感を調整する形にしています。トレーナーは“作業者”ではなく、個別対応に集中できるようになりました。
運用やコストには、どんな成果が出ましたか。
最も大きいのは、食事管理フィードバックの工数削減です。以前はトレーナーがお客様1人につき1日約15分かけていたのが、AI活用でほぼゼロに近い状態まで削減できました。
1人あたり1日15分の削減なので、10人を担当するトレーナーなら1日150分、約2時間半が浮きます。この時間を別のお客様のセッションに充てられます。仮に1日あたり約2万円分の売上機会を生めるとすると、月20日稼働で1トレーナーあたり月40万円程度の売上機会。粗利率40%なら月約16万円の粗利インパクトです。LTVへの影響は他の変数も多く切り分けが難しいものの、時間・工数削減という面では明確な効果が出ています。
数あるスクールの中で、このコミュニティをどう感じていますか。
参加者の多くが、最初は初心者だったという共通点があります。だから同じ目線で学び始められる。非エンジニアの経営者でも参加しやすいんです。開発会社の方々は当然ながら前提知識があり、非エンジニアの経営者とはスタート地点が違いますが、ここでは初心者から始めた人が成果を出していて、その過程を見られること自体に価値があります。
私自身、いわゆる“筋肉系”の経営者で、コーディングに詳しいわけではありません。それでも気軽に入れる空気感があります。エンジニアリングのプロではなく、経営のプロが多い。年商規模や事業実績を持つ経営者がAIを活用して成果を出している——単に「AIを学ぶ場」ではなく、「経営者がAIをどう事業に実装するか」を学べる場だと感じています。
最後に、どんな経営者へ伝えたいですか。
経営者コミュニティの価値は、「誰と学ぶか(コミュニティの質)」と「学びによって得られるROI」の2つだと考えています。質は会員の質で決まりますし、経営者であれば、支払った費用に対してどれだけリターンがあるかは当然重要です。
Claude Codeを学べば、自分でツールを作れるようになり、AIで時間を削減し、人員や外注コストを減らせる。結果として、支払った費用以上のリターンを出せる可能性がある。そこが本質的な価値です。学びで浮いた予算を質の高いメンバーへの発注に回したり、コミュニティ内で受発注が生まれたりする可能性もあります。
AIやDXをやった方がいいと分かっていてもまだ動けていない経営者、開発会社に丸投げする前に自分で課題を整理したい経営者、非エンジニアだけどAIを経営に実装したい経営者——そういう方にこそ、おすすめしたいです。